生まれて始めての落語創作★


『ごめんなさいよ アッ是はおかみさんですかい お早う御座います 

いえわっちね 今日隣に越して参りやした でぇえくの徳蔵って申しやす 

ちょいとご挨拶に伺ったてぇ次第で よろしゅうお頼みいたしやす』

『あらま〜 そりゃ御丁寧に 内は左官の留松 あたしはお絹と言います こちらこそね』

『こりゃ つまらない物ですけどご挨拶代わりに』

『あらら そんなことまでして頂いてぇ ありがとね ねね そんなことより徳さんでしたっけ?

お前さん 知って隣へ引っ越してこられたのかい』


『へッ 何のことです 大家さんは何も仰ってはいませんでしたけど』

『そうだろうと思ったよ いえ実はね 出るんですよ』

『へぇ ナメクジが〜』

『いえ 其れも出ますけどね 大きな奴がウジャウジャと』

『あはは 湿気の多そうな所ですから覚悟してました なんせ店賃がめっぽう安くてね 

仕事場にもちけぇもんですから〜少々の不都合は気にいたしちゃおりやせん へい 一人もんの気楽さで御座います』


『いえね それだけなら別に何もいいませんよ もう少し大きいのが出るんですよ 夜中に』

『へええ ねずみですかい?それとも野良猫かむじなとか』

『そんなもんなら可愛いもんだけどね しろいフワ〜〜ッとした物出るんだよ〜〜』

『誰かのふんどしが風で飛ばされて来ますかい 丁度風の吹き溜まりみたいなところですけど』

『あたしも見た事ぁ無いんだけどね 何でも怖い顔した女の幽霊だという話だけどね

今年になって越してきた人あんたで3人目 皆3日と持たない 大家さんもだから家賃下げてんだよ』
『アハッ そうでしたかい まぁわっちは人に恨み受ける覚えもねえし幽霊ってのに一度お目に懸かって見てぇと前から思っておりやしたしね 
コリャ楽しみだ しかしいってぇどんな幽霊が出るんでしょうね』


『それがね 去年まで隣には小間物を商っていた小次郎ってちょいと苦みばしった如才の無い人が住んでいたんだけどね 

その人に係り有った女だとか そんな噂ですけどね去年の秋口に其の幽霊が始めて出てね 

もう小次郎半狂乱で越して行っちゃったんですよ所が 如何言う訳か 幽霊だけが居残っちゃって 越してくる人に其れは律儀ににゅーっと』

『さいですかい 縁もゆかりも無い人にねぇ 嫌な幽霊だね ようがすあっしが意見してやりまさぁ』

てんでね 暢気な奴が居たもんでお上さんの心配余所に住み着いちゃった


当日。二日目、三日目と何事も起きません

『なんでぇ〜 楽しみにして居たのに出てこねのーかい 面白くもねぇ』

さて4日目の晩で御座います

徳蔵 昼間の仕事疲れから家に戻りまして冷酒キューっと2〜3杯流し込むとそのまま大の字で寝込んじゃった

夜も深々と更け渡り・・・草木も眠る丑三つ時

この丑三つってのは八つ(午前2時)から七つ(午前4時)迄を更に四分割致しましてな3時から3時半までの事を言います


冷たい風がス〜〜〜と流れ半公薄っすら目を覚ました

部屋の隅に長い髪をザンバラにした女が体斜にして立っておりまして

陰に篭った声も物凄く〜〜『うらめしや〜〜〜〜』

顔半分が紫色に腫れ上がって居りましてもう目も潰れかかっております 口元からは血が一筋

其れは凄まじい形相で御座います

所が徳蔵驚かない 元々気丈な所持ってきて人に恨まれる覚えが無いと自慢ですしな 

幽霊ってのを見てみたいと出て来るのを今か今かと待っておりましたからもうニコニコ顔で御座います