女心は幽霊でもビミョー★


何故か突然のおみさ幽霊の逆鱗に徳蔵呆気に取られましたが後の祭り★
おみさは幽霊の様に・・・マッ幽霊なんですけどスーッと消えてしまいました
徳蔵ちと早まったかと自分の短慮を後悔もしましたが 
『な〜に 又その内現れるだろう♪』なんてね 軽く考えておりました
所が 次の日も 又其の次の日もおみさ現れる気配一向に有りません
『フンっ!女心と秋の空か〜〜?シャーねぇえなぁ〜★』
元々諦めの早い徳蔵 3日も経てばすっかり忘れ 仕事に励んだのです


所が気に成って気に成って堪らない人が居ましてな ハイお隣の左官職人のお上さんお絹さんです
今までの人は3日もしないうちに真っ青な顔して引っ越していくのですけど
徳蔵は知らん顔して元気に仕事に出かけます


それに徳蔵が連れ込んだ女もパタリと来ません
嬉しそうな笑い声と期待を抱かせる甘い会話が今夜こそ聞けるかとまんじりともしません
もう目の周りに隈を作りましてな 毎晩聞き耳を立てていたのです


『あらっ 徳さんお帰んなさい〜〜働きもんだね〜〜毎日精が出るねぇ〜』
『やぁ〜 お隣のお上さん 今けえりやした♪いえいえ急いた仕事でしてね 遅れないようにと只それだけの事で御座いますよ』
『いやいや そうじゃ無いこと百も承知の輔 あんたの真面目ぶり家の亭主に爪の垢でも煎じて飲ませてやりたいもんだよ』
『何を仰る ご亭主の留松さんには未だお目にかかちゃ居りませんが腕の其れは立つ親方と評判でございますよ』
『アハハ 腕は如何だか私も知りませんが 
毎晩毎晩ほっつき歩いて帰るのは夜中だったり朝帰りなんてしょっちゅう どうしようもない駄目亭主だよ!』
『おや 相当行ける口ですかい?今度一度ご一緒にと親方に一言仰ってくんない あっしも付き合い良い方で♪』
『あらま嬉しいことを お前さんと一緒なら私も安心だし 是非とも誘ってやって頂戴 
其れより一度家へ遊びに来てくれな 余り大した物出来ないけど私の料理ちょいと自慢なんだからさ』
『有難う存知やす じゃお言葉に甘えて近い内に一本ぶら下げてお邪魔いたしやす 親方の都合聞いて前の晩にでも声描けてくだせえ』


『あいよ承知だよ 家の人もきっと大喜びだよ アッそれはそうと 徳さん隅に置けないね〜〜』
『へっ なんのこってす?』
『フフフ 仕切りの壁薄いから声がね筒抜けなんだよ 3日前聞いたわよ〜〜』
『アッ 聞こえやした?遅い時刻だったから寝てらっしゃるかと そりゃ飛んだご無礼を』
『いやそんな事は気にしなくても良いんだけど 徳さん!何処の良い人連れ込んだのだい?お安くないねぇ』
『アハハ 違うんですよ ほらお上さんが言ってた幽霊 あれが出たんですよ』
『幽霊が?あはっ誤魔化してからに 楽しそうな笑い声がしてたのに』
実は赫々しかじかでと訳を話すとお上さんもびっくり


しかしながら是で幽霊出なければ良いお隣さんが居ついて呉れるし
幽霊の評判も消えて大家さんもホッとするだろうし少し残念だけど目出度いねと話終わったのですが
お隣のお絹さんの挨拶終えて玄関の戸を開けてみると一升徳利が一本置いてある
『はて?いってぇ誰が持って来たのか まさかお隣って訳でもねぇだろうし・・・まぁいいや有がてぇ』
まぁ毒も入っていねぇだろ・・と飲んでみると中々上等の酒で御座います
それが 飲み終わる頃に成ると又徳利が上がり框に・・・
一月も其れが続いて徳蔵気付いた 是はおみさ幽霊が差し入れてくれてるのじゃないかと?
益々 幽霊の女心の不可解さに首を傾げながらも楽しみに致すようになって参ったので御座います